三島市では、代々三嶋暦をつくり販売してきた河合家から歴史ある建物を寄贈されたのを機会に、この建物を整備して暦の歴史や文化に親しめる場所として活用することにしました。 ■平成18年6月に国の登録有形文化財に指定されました 2006.6.17朝日新聞 ■平成19年9月に入館者が1万人を突破しました。 2007.10.10静岡新聞 ■平成22年3月31日に入館者2万人を達成しました。 ■平成25年3月17日に入館者3万人を達成しました。 ■平成30年10月4日に入館者5万人を達成しました。 ■令和3年3月25日に「ふじのくに文化財保存・活用推進団体」に認定されました。 ■令和5年5月に入館者6万人を達成しました。 |
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三嶋暦を作っていた「河合家」の元の建物は安政(1854)の大地震で倒壊してしまいました。そのため、韮山の代官であった江川太郎左衛門のはからいで、十里木(裾野市)に廃屋になっていた関所の材料を使って建てなおしました。 玄関は武家風で立派な式台が付いています。また、奥の座敷は一段高くなった上段の間になっていて、格式の高さをしのばせています。 左の写真は中央が正面玄関、左の木の後方ガラス戸のところが脇玄関になります。 |
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建物周辺 | ||
「三嶋暦師の館」は三嶋大社の東300m位の位置にあります。昔はこの辺りは大社の神領域で社家(しゃけ=神事に直接かかわる人たちとその住まい)の村があった場所です。そのようなことからか、ここより東に100mのところを流れている川を神川(かんがわ)と呼んでいました。現在は大場川(だいばがわ)となっていますが、土地の人は今でも神川とよんでいます。架かっている橋(下神川橋)からはすばらしい富士山を眺めることができます。 右の写真は「三嶋暦師の館」前から西を見たところです。まっすぐ伸びる道路は「暦門(こみかど)のみち」とよばれています。つきあたりに三嶋大社の森が見えます。 |
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「三嶋暦師の館」から東を見たところです。ここの坂を神川坂とよんでいます。この坂を下り、先に見える下神川橋を渡ると、「推定・平安鎌倉古道」とよばれる道が箱根方面へ向かってのびています。 |
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下神川橋からはこのようなすばらしい富士山を眺めることができます。下を流れる川が神川です。神川は現在では大場川と呼ばれています。 |
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庭 | ||
江戸時代頃までは、西南の方角に天文台があり星や月を観察して暦を作成していました。庭の中央にある泰山木(たいさんぼく)は、明治12年に三島へ招かれたアメリカの18代大統領グラント将軍に頂いたものだといわれています。毎年、6月には匂いのよいきれいな白い花を咲かせます。 |
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グラント将軍から頂いた泰山木 |
泰山木を別の角度から撮ったものです。 |
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富士山と三島溶岩 | ||
「三嶋暦師の館」の前の道を東に100mほど行った下神川橋(しもかんがわばし)からは、素晴らしい富士山を眺めることができます。円錐形の美しいこの山は、今から1万4千年ほど前にできました。ほぼ中央にぽっかりと口を開けているのが、宝永4年(1707)に噴火した宝永火口です。火口の手前の小高い山を宝永山(ほうえいざん)とよんでいます。 数10万年前にできたといわれる「小御岳(こみたけ)火山」、数万年前にできたといわれる「古富士火山」の上に今の富士山ができました。そのようなことから、今の富士山を「新富士火山」とよんでいます。 新富士火山の噴火で流れ出た溶岩は、愛鷹山(あしたかやま)にさえぎられ、東側の箱根山との間を南下して、現在の三島駅付近まで到達しました。この溶岩は流れ下りながら空気中に熱を放出したり、気体成分を発泡しながら冷えていったので、溶岩をつくるさまざまな鉱物はきわめて小さく、岩質は緻密で硬い玄武岩です。三島駅付近では、溶岩が縄状に固まった「縄状溶岩」、溶岩流の末端近くにできる「溶岩塚」などを見ることができます。 |
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縄状溶岩(楽寿園内) |
溶岩塚(三島市民文化会館前) |
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三島溶岩を素材として造られた造形物が市内のあちこちで見られます。縁石をはじめベンチの脚、柱などいろいろなところで三島にふさわしい落ち着いた雰囲気をかもしだしています。「三嶋暦師の館」でも石垣や池などには三島溶岩が使われています。 こうした三島溶岩を使った陶器ができました。おそらく初めての試みではないかと思われます。 播州相生焼(ばんしゅうあいおいやき)の陶芸家・那波 翔英(なば しょうえい)氏にお願いして作制して頂いたもので、下の写真二つは「三嶋暦師の館」の庭の溶岩をすり潰し、釉薬に混ぜて使った「三島溶岩天目茶碗」と「三島溶岩道祖神花入れ」です。 |
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三島溶岩道祖神花入れ |
三島溶岩天目茶碗 |
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「三嶋暦」は「三嶋暦師の館」以外にも 「三島市郷土資料館」(楽寿園内)や「三嶋大社」(宝物館)でも展示しておりますのでご覧ください。 | ||